皆様、はじめまして株式会社 AI・ミライ・環境 と申します。
弊社は JISA1481-1法によって建材に含まれるアスベストの定性分析を行う会社です。

偏光・分散顕微鏡を用いたアスベスト定性方法は以前から海外で広く認識されておりましたが、日本ではまだ10年程前に公定法として認められたばかりです。

この顕微鏡の特徴は2枚の偏光板を用いて、アスベストが持つ光の複屈折を利用する顕微鏡です。
簡単にいうと、偏光顕微鏡観察下ではこの特性を持たない他の物質は見えなくなり、一方でアスベストが見つけやすくなります。
この原理を利用した観察方法はアスベストを探す上で非常に便利です。

検出感度に関しても、調査するプレパラートの枚数を6枚にする事で現行の0.1%(w/w)という含有率に対して2桁以上の高い精度を担保する事ができます。
*調査するプレパラートの枚数を増やせば、より感度があがるイメージは皆様御理解頂けると思います。

この高い精度は分析側に起因するヒューマンエラーに対しても非常に有効です。
理論上、この方法は数万〜数十万粒子の中から1粒子のアスベストを検出できる為、見逃しについてのリスクも低いと考えられます。(通常0.1〜5%濃度の場合、かなりたくさんのアスベストが観測されます。)
*とはいえ、ある程度熟練した経験者による観察が必要です。

また一方で、X線回折装置の定量性能について、まだまだ濃度の低い側の分析では先に肉眼での定性の確認作業が必要です。
アスベストは純物質ではない為に、似たような物質のピークを拾う場合やまたピークが出ない場合もあり、定量の精度維持が難しいと言われております。

日本では機械による検査が、人間よりも優秀と考えられがちですが、視覚で追えるアスベストの分析においては、まだまだ人間も頑張れる余地がありそうです。

皆様、今後とも宜しくお願い申し上げます。


弊社アスベスト分析の流れ

JISA1481-1(2016):建材製品中のアスベスト含有測定法‐第一部:市販バルク材からの試料採取及び定性判定方法
肉眼及び実体顕微鏡により予備観察を行った結果から、繊維もしくは素材を偏光顕微鏡によって観察する。
顕微鏡観察を行った結果からアスベスト検出・不検出を確認する。
※ 観察の際、前処理方法の判断は予備観察①の後に行う。
※ 前処理の方法には、灰化・酸・浮遊沈降・ろ過等の工程が含まれる。

前調整の種類と目的

灰化処理 : 485℃でサンプルに含有される有機物質を取り除く
塩酸処理 : 2M塩酸により酸溶解性の物質を取り除く
浮遊沈降処理 : 砂や小石を取り除く
ろ過処理 : サンプルの濃縮を行う




TOP